岩泉線廃止で合意 道路化に70億円、14年度着手 

 

2010年7月の脱線事故以来、運休が続くJR岩泉線について、JR東日本、県、宮古市、岩泉町の4者は7日、廃線とすることで合意した。JRは8日、国土交通省に廃止届を提出し、来年3月末で廃線となる。全線開業から40年余り、地域の利便を支え、鉄道ファンに愛された「秘境線」が姿を消す。県は並行する国道340号の難所・押角峠を回避するため、鉄道の押角トンネル(2987メートル)の道路化に来年度着手する。総事業費は約70億円と見込まれる。うちJRが20億円を上限に負担する。

 千葉茂樹副知事、山本正徳宮古市長、伊達勝身岩泉町長、JR東日本の高橋真取締役総合企画本部経営企画部長が7日、県庁で岩泉線廃線に関する覚書を締結した。両市町長は「苦渋の決断だ」などとコメントを出した。

県、JR盛岡支社によると、4月1日から運行する代替バスについて▽JRが費用面を含め運行確保に責任を持つ▽地元バス事業者(東日本交通)が行う▽区間は茂市―岩泉を基本とする―などと合意した。運行本数、停留所、運賃は現行の鉄道水準を基本にJRと地元自治体が協議を続ける。

 現時点では1日4往復が基本。地元の要望を受け、現行の代行バスのルートから大川集落方面に片道約1・4キロ、岩泉町中心部では岩泉高方面に約1キロ延長する。<引用 岩手日報


<コメント>

 前回、ブルートレインの運行をやめる話だったが、今回は線路がなくなる話。

 そもそも鉄道とはどんな利便性があったのか。大量の物資輸送が可能だと云うことに尽きる。その使命がなくなったから廃線なのか。

 自動車社会が発展して道路が整備され、誰もが目的地へ行けるようになった。物資輸送もトラックに替わった。利便性は自動車へ移行したかに見える。しかし、みんなが同じ目的地をめざすと渋滞が起きる、交通事故も日常茶飯事起きている。安全性では鉄道には遠く及ばない。自動車社会は交通ルールしかないが、鉄道にはさらに運行ダイヤというルールがある。ルールを二重にしているから安全性が大きく異なるのだろう。

 国鉄がJRになって保線区員を減らした。事故が起きるのは当然だと思っている。さらに赤字路線を抱えるJR北海道など幹部職員を含めた職員のやる気がなくなっているようだ。自動車社会にはない安全性への自負が欠けている。ATSを壊すような機関車運転手など論外だが、そのような運転手を作り上げたのは赤字になると安易に廃線を考えるお利巧さんたちである。

 ところで、悪口ばかり書いてもいられない。鉄道と自動車社会の融合がスムーズになる方法はないものか前向きに考えよう。

 赤字路線の一部で線路をはずしてバス専用道路に移行したBRT路線もあるが、安全性、利便性は著しく低下していると怪しんでいる。むしろ、一般の自動車を鉄道に乗り入れさせたほうが安全性、利便性が向上するのではないのか。

 最近、前方の障害物の手前で自動的にブレーキが効く自動車の衝突防止装置が開発された。これは朗報である。継いで自動車で線路を走らせるアタッチメントを開発すれば、鉄道線路は高速道路に安全性を付加したものとなる。一般車両が鉄道インフラを利用することは決して実現できないものではない。

 自然災害の多い日本にとって鉄道は国民の生活を守るために整備されたインフラの原点だ。東日本大震災で連日1000キロ以上の石油輸送を成し遂げたことでも明白である。赤字だから廃線にするなど安易な考えは捨てた方が良い。道路も鉄道も共に重要なインフラであり、両者をオーバーラップさせながら、インフラを発展させることが必要だ。